体感音響研究所

エコニック、ボードスピー
カ、パネルスピーカ


壁全体が音源となる新しいSP エコニック・サウンドトランスデューサ

エコニック・サウンドトランスデューサの特長と性能
面音源を実現させた 新しい
振動ユニット


壁自体が音源となる4チャンネル音場再生に適した ボードスピーカについて

音づくりの新しい可能性を示す 全面的に改良された GTボードスピーカ

ボードスピーカを応用した製作
ポスター・パネルスピーカの作り方


写真を振動させて音を出す
パネルスピーカ PS-5


EWI 技術開発の先駆
エレキサックス


ボディソニックの技術



 bodysonic.cc


 
これが SP?
 
写真を振動させて
      音を出す

 

  
    メカニカル2way方式
        特殊平板スピーカ・システム
    パネルスピーカ PS-5
 
               小松 明
 
1972年11月 電波技術 1) (Web 06.9.5  

 
1.写真から音が出る
 
 スピーカシステムといえば、木の箱にSPユニットを納め、衷面はサランネットのグリル…と、だいたい相場が決っていますが、このパネルスピーカは表面が写真パネル仕上げになっていて、その写真が振動することにより、音が出るというユニークなものです(PS-5)。
 また、大きさは520_×380_で厚みがわずか33_という驚異的な超薄形になっています。これは、ちょうど、普通のスピーカシステムの前面グリルだけくらいの大きさしかありません。
 見ただけではこんな小さくて薄いもので本当に音が出るのだろうかと思う程ですが、実際に鳴らしてみると信じがたい程のシャープな本格的HiFi音がします。
 それもそのはず、後に説明するように各部分は非常に注意深く他に類を見ない独特の設計がなされているからです。そして巧妙なメカニカルフィルタにより、メカニカル2way方式を構成して広い周波数帯域をみごとにカパーしています。
 4chステレオもいよいよ実用期に入ろうとしていますが、4chステレオの悩みのタネのひとつは小さい部屋のリアSPシステムです。
 そんな時にパネルスピーカはもってこいです。PS−5を鴨居の上に掛ければ、ドアがあろうが押入れがあろうが全々問題になりません。それに表面が写真パネル仕上げになっているパネルスピーカなら、小形だし第一スピーカがあるとは誰も気がつきません。
 PS−5はサイズも小型で、室内に掛けるのに、ちょうどいい大きさになっています。さらに、量産による合理化によって、大幅なコストダウンに成功し、1台がわずか5000円ぐらいという買いやすい価格になっているのも大きな魅力です。
 また、機能面でも大きな改良が加えられ、表面の写真の交換も、ワンタッチで簡単にできるようになっています。
 
 表面を写真パネルにしたスピーカは昨年8月号にGTポードスピーカを応用した製作記事が紹介され、さらに本年2月号にはグラビアでその製品化されたものが紹介されておりますが、今回発表になったPS−5は、その後の研究成果による新技術を盛込み全面的な改良を加えることにより大幅な性能アップをした新製品です。


2.原 理
 
 写真から音が出る、といってもその構造は箱の中にスピーカユニットが入っているという普通のシステムとは根本的に違います。
 パネル全面が、振動板になっていて写真全体を振動させて音を出すわけです。
 中心部にマグネット、ヨークプレート、トッププレート、ボイスコイルなどより成る動電変換器があり(第1図)、ここで電気信号を機械振動に換えて、表面の微動板を振動させて音を出します。
 そして表面の振動板に写真を貼っておけば写真が振動して、写真から音が出て来るわけです。
 
               第1図 パネルSPの仕様と構造


3.メカ二カル2way方式特殊平板スピー力
 
 ここまで説明すれば賢明な電波技術の読者の皆さんは、もうお解りでしょう。そうです。スピーカ分類上からはだいぶ特殊ではありまずが、一種の平板スピーカなのです。第1図断面図の振動板部分のみを解りやすく画いたのが第2図です。
 表面は平らになっていますが、裏面は複雑な形状をしています。そして振動板はふたつの部分よりできています。
 それは中心部の高音部振動板と囲り全体の主振動板です。高音部微動板と主振動板とはメカニカルフィルタを形成していて、8000Hz以上の高音は中心部の高音部振動板から再生され(ツイータ)低音部は振動板全体から再生されます(ウーハ)。
 このようにして、メカニカル2 way方式が形成されているわけです。

 この為、非常に高音の伸びが良くシャープな音の再生ができます。いろいろ説明しましたが、もっと解りやすく普通のコーンスピーカと対比すると良く解ります。ごく大ざっぱにいってしまえば、コーン紙の代りに衷面の平面振動板を振動させて音を出すわけです。
 そういわれれば、ナーンダ、ただそれだけのことかとも思われますが、その設計思想はまったく異り、使われている部品も他に類を見ない独特なものばかりです。次にそれらの部品のいくつかを説明しましょう。


4.ジョインティングダンパ
 
 平板スピーカでは大面積の重い微動板を駆動しなければなりません。この為、ジョインテイングタンパはコーンスピーカなどで使用されているコルゲーションタンパとは形状、物理的性質など、だいぶ様子が違います。
 それは重い振動板を駆動するためには、まず強靭でなければなりません。また、平板はコーン紙などと同じ駆動方法では満足な性能を得ることができません。
 以上の条件を満たすためジョインティングダンパはその材質、形状、精度などが吟味されて作られています。
 例えば形状ですが、ボイスコイルのポビンを直接振動板に付ける従来の方式では充分な性能が得られませんのでポピンはいったんジョインテイングダンパに付け、ジョインテイングダンパを振動板につける方式をとっています。この為、ジョインテイングダンパは従来のダンパには見られないまったく新しい形状をしています。
 これにより平板から驚く程、高音ののびが得られるようになっています。また精度は1/100_の精密さで作られています。材質についても同様な深い考慮が払われています。



5.高音部振動板及び主振動板
 
 写真を取付け、しかも良い音を出さねばならない重要な部品です。断面は第2図のように形成されています。この形状は重要で音質や性能上の計算の上にたって設計されます。
 高音部振動板は8000Hz以上の周波数の再生をすると同時に中低音部の音質を改善する重要な役割を持っています。それは高音部振動板をつけること により、主振動板の剛性を高めると同時にfoを下げる巧妙な設計になって いるからです。
 高音部振動板が単にツイータとしての動作のみにとどまらず、中低音域の改善をし、音質を決定する重要な役割をする所以です。
 最初にも少し説明しましたが以上の構造によって、高音部振動板と低音部振動板とはメカニカルフィルタを構成し、8000Hz以上の高音を高音部振動 板により再生し(ツィータ)、中低音部は振動板全体から再生する(ウーハ)メカニカル2way方式になっています。
 前項で説明したジョインテイングダンパと共動して、振動板はその性能をフルに発揮し、すぐれた性能を得ています。


6.交換カートリッジ、替絵アダプタ及び替絵
 
 これらの部品は(部品というより、アクセサリー)他に比較するものがない、パネルスピーカだけの独特のものです。
 いずれも、パネルスピーカ表面を写真で飾るための部品です。交換カートリッジはカラー-写真に発泡樹脂のベースをつけたもので、粘着剤により簡単にパネルスピーカ本体に着脱できるようになっています。
 替絵アダプタは額プチのワクのような感じのもので替絵と共に用います。替絵アダプタによる形式は、しっとりおちついたムードに誰にでも好まれるスタイルです。
 その上、替絵アダプタを使用するとメーカー発売の替絵だけでなく、自分で写した写真や、雑誌のピンナップなど手持ちの絵や写真をつけることもできます。
 絵の交換は粘着剤により簡単にパネルスピーカ本体に、着脱できるようになっています。替絵アタプタによる長所は以上の他に音楽的にもすぐれていることです。特に、高音ののびやはがれの良さは交換カートリッジよりはるかにすぐれていまず。

 

7.パネルスピ−カ PS-5 の上手な侠い方
 
 PS-5は非常に小型で薄くできていることと、後面開放になっていることが大きな特徴です。この特徴を上手に生かすようにするのが良い効果を上げる使い方のコツということになります。では実際にはどうナれば良いか。基本的には

1.置き場所を考えてできるだけバッフル効果が出るようにする
2.壁面とパネルスピーカをはなすようにする
3.低音が不足気味の時はアンプで調節する

 以上の3点が要点です。
 では具体的にはどうすれば良いか。まずバッフル効果を出す方法としては家具などを利用してできるだけバッフル効果が出るように工夫することです。
 これは、ブックシェルフ型スピーカと同じ要領です。
 壁面に掛ける時は、第3図に示すようにパネル裏面の穴にヒモを通して額プチをかけるのと同じ要領でパネルと壁面との間があくようにすることです。
 この時、パネルのフチと壁面の間にクッションを入れてビリツキなどが起らないよう注意します。
 いずれにしても、壁面とパネルの間が10cm以上あくようにすることです。あれもこれもめんどう、という人には、もっとうまい方法があります。
 それはPS−5専用スタンドを使用することです。
     
                   〔第4図〕 良い効果の得られるPS−5の置き方の例


 このスタンドをつけると、自然に壁面との間に適当な間隔ができて、非常に良い音響効果が得られます。
 もの上、床の上、家具の上、机の上などいろいろな所に体裁よく置けて便利です。
 特に床面に置きますと、リスナーの高さと音源の位置がピッタリ合う上、パネル後面から出る音が床面と壁面に反射して豊かな間接音が得られ、プレゼンス効果満点です。もし低音の不足を感じる場合はアンプのトーンコントロールで調整して下さい(BASSを上げるか、LOUDNESSのスイッチを入れる)。













         〔第5図〕
          4chリアとして使う場合、パネル
          裏面から出る音を壁や天井、ある
          いは床などで反射させ、間接音を
          積極的に利用すると効果が上る




8.4chリアSPとしての応用
 
 4chの場合フロントSPはなんとがなるのですが、リアSPの置き場所にはいろいろ困る場合が多いものです。
 こんなとき、PS−5をリアとして使用すると問題はいっきょに解決する上に室のムードも高まります。
 パネルスピーカは前面ばかりでなく後面からも音が出ますので、この後面から出る音を積極的に利用するのが4ch効果を高めるうまい方法です。
 それには前項で説明したように壁面との間をあけてパネル裏面から出た音を壁面や天井、あるいは床にぶつけて反射させ、間接音が多く出るようにすることです。
 和室の場合でしたらカモイの上に掛けるのが効果の上からも場所を確保しやすい点からも上策といえましょう。


9.PS−5 を使った 4ch 例
 
 4ch もいよいよ実用期といわれながらも、レギュラマトリクスあり、ディスクリートあり、はたまたCBS方式ありでまだ当分の間は統一はできそうもありません。本誌の読者の皆さんのように豊富な知識と技術を持っている人は良いのでずが、オーディオ知識の少ない一般の人達にとっては、この3方式のレコードと、3方式のデコーダを識別し使いわけ、さらに上手に4chを使いこなすなんて、とても無理な話になりそうです。
 しかし何はともあれ、一応4chにも手をつけてみよう…と考える人には 本誌で度々発表されているスピーカマトリクス方式が適当でしょう。
 この方式ならば将来、4chがどの方式に決るにせよ、機器のムダがありませんし、何よりも安あがりです。
 パネルスピーカPS−5は、1台が5000円ぐらいですから4台そろえても普通のSPシステム1台分ぐらいで済みます。つまり、ステレオ半分の値段で4ch一式がそろってしまう計算です。
 そこでPS−5を4台使っての4ch の例をお話しましょう。接統は、第6図で皆さんおなじみのものです。
     

 フロントは、PS−5専用のスタンドをつけて床の上に麗き、リアはカモイの上に第7図に示すように取付けます。
 このようにしますと、フロントはスタンドにより、充分な音響効果が出せると同時にリスナーと音源の効果が合って音の定位も良くなるので一石二鳥です。
 また、リアは、カモイの上などに付けることによって、充分な間接音が壁面と天井の両面から反射しで、コンサートホールに近いホールトーン効果が得られます。その上、リアSPの場所も容易に得られるなど、これまた一石二鳥の効果が得られます。
 また、4chは前後共同じSPシステムを使うのが理想ですが、その点でも4台のSPが同じで申分ありません。
      

 以上スピーカ・マドリクス方式の場合について書きましたが、その他、本格的にデコーダを付けて4chにすることもちろんOKです。
 その場合も、PS−5の配麗はいままでに説明した方法によるのが良いでしょう。
また、PS−5は表面写真の着脱が自由ですので、写真をつけないで使用することもできます。
 一応説明を終らせていただきますが何分にも新しいシステムですからこの説明だけでは解りにくい点もあるかと思います。その際はメーカーの技術部あてに問合せて下さい。
 皆様の御意見をお待申上げております。
                                                以上


      パネルスビーカ PS−5 試聴モニター
                               編集部
 
 電波技術編集部(近代科学社)リスニングルームでのPS−5の実用テストでは実に興味あるデータが得られました。提供戴いたパネルスピーカ、風景と人物絵画、これを附属スタンドで立ててのリスニングですが、まず形態からの驚きは100%、若い世代ほどカッコイイ ニューデザインに感銘ひとしおというところでした。数多くの高級スピーカーシステムの林立するなかで、正に異彩の注目率は、製品効果満点といえましょう。
 さて音ですが、低域、高域、まずは不足ない出かたでした。バスレフ級システムに較べると能率がちょっと低いようですが、これもブックシェルフ完全密閉型が流行の昨今では、アンプには問題にならないところでしょう。ヴァイオリンの音やピアノの音は、振動系の材質の為か紙コーンにみられない迫力ある真実性ハイファイと聴かれました。弦の低音の強さを望む曲にはトーンのバスブーストで十分なところでした。
 なお編集部では早速に片ch PS−5はS部員撮影の傑作ヌード写真が交換カートリッジとしてマウントされました。



参考文献

1)小松 明:メカニカル2way方式特殊平板スピーカ・システム パネルスピーカ PS-5
    「電波技術」 1972年11月号 P182-187


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 06.9.9

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