![]() ボディソニックの効果 ボディソニック 体感音響装置)とは ボディソニックの リラクセーション効果 ボディソニックの 誘眠効果 ボディソニックが 生体に及ぼす効果 ボディソニックの 臨場感再現効果 音楽における 1/f ゆらぎ分析の理解 コンサートホール夜話 A席よりD席の方が良い音? ボディソニックによる 受容的音楽療法 |
ボディソニックが生体に及ぼす効果 − ボディソニック開発者の探求 − 小松 明 全日本音楽療法連盟 理事・初代事務局長
はじめに 医療の場における受容的音楽療法は、心療内科領域、老年医学領域、末期医療、人工透析、成分献血、外科領域、ストーマケア、歯科、産科など、医学の広い分野で多くの臨床報告がある。 それらの臨床例を見ると、治療としてのみならず、音楽の癒しによる、患者の不安やストレスの緩和が、症状の改善に良い効果をもたらしている例が多い。不安やストレスの緩和はもとより、痛みの緩和、便秘への効果、褥瘡(床ずれ)の予防効果など、注目すべき生理的効果も報告されている。 1.臨床例 【心療内科領域】 我が国は 80年代、ストレス社会に突入し、ストレスに起因する、心身症、神経症、不登校児の増加、過労死などを多発させた。東邦大学・筒井教授らの「うつ状態に音楽療法的接近を試みた一例1)」「過敏性腸症候群に対する音楽療法2)」「頭頸部の不定愁訴に対して音楽療法を施行した一例3)」「摂食障害患者の過食衝動に対する音楽の活用の試み4)」や、横浜労災病院・山本先生の「不登校症例に対する音楽療法の活用5)」など、数多くの臨床報告がある。 リラクセーション効果のある椅子形のボディソニック(体感音響装置、ボディソニック・リフレッシュ1)を使用した受容的音楽療法で、カウンセリング、薬物投与、自律訓練法、バイオフィードバック療法などを併用する治療的な音楽療法である(写真1)。 【人工透析】 大阪府立病院人工透析室の表氏らは「血液透析中における音楽療法の試み6)」などを報告している。ボディソニック(体感音響装置)搭載の医療用ベッドパットドステム(写真2)による受容的音楽療法で、精神的に安定することによって吐き気、嘔吐が少なくなり、血圧変動が軽減し、腹痛・倦怠感など愁訴が減少するなどの改善の効果がみられた。 【末期医療】 横浜市立市民病院の岩谷氏らの報告「末期患者に対する音楽療法の試み7)」では、癌 末期患者のトータルペインの緩和、QOLの向上を目的として、ボディソニック搭載の医療用ベッドパッドシステムによる受容的音楽療法を22例に実施した。大方の例で、不安、痛みからくる鬱状態が軽快し、また、全例に便秘の改善、褥瘡(床ずれ)発生の回避が得られた。また、モルヒネを主とする薬物の投与量が減少したことも指摘されている。音楽療法を強いて一言でいえば[音楽の機能を利用した心理療法]ともいわれる。不安、痛みからくる鬱状態が軽快したことは心理療法としての効果といえる。モルヒネを主とする薬物の投与量が減少したことは、痛みが緩和されていることを示している。便秘の改善と褥瘡の予防効果も指摘されている事実は、心理療法の枠を越え、直接生理的効果を及ぼしていると考えられ注目される。 その他、興味深い臨床例が多数あるが、紙数の都合で紹介できないのが残念である。 写真2 ボディソニック搭載の医療用ベッドパッドシステム 人工透析、末期医療の他、外科領域での術前術後など、 さまざまな領域で使用されている。 2.聴覚振動心理・生理 今までに紹介した臨床例では、方法としてボディソニックを使用している。ではなぜボディソニックは受容的音楽療法に効果があるのだろうか。 【意識下に残る胎児期の記憶】 人間が聴く音の原点は振動を伴っている。胸に手を当てれば、ドキッドキッと鼓動が、振動として手に感じられる。声を出せば声の振動が伝わってくる。身体は70%が水分であり、骨や水は空気よりはるかに振動を良く伝える。お母さんの鼓動や声を、胎児期、赤ちゃんは、お母さんのおなかの中で体感音響振動を伴った音を聴いている。体感できる音の振動、すなわち体感音響振動が人間に及ぼす効果の最も根源的なことが胎児期の記憶にある。 母親の鼓動や声など、胎内音には母親の健康状態、精神状態など、心理的、生理的な情報が含まれている。単なる物理的な振動ではなく「情報を持つ体感音響振動」が胎児に心理的・生理的にさまざまな影響を及ぼす。 成人すると胎児期のことは忘れるが、意識下には胎児期の記憶が残っていて、体感音響振動を伴った音が印象を強め、音楽の感動や陶酔感を深める。また、胎児期の記憶につながることは、リラクセーション効果をもたらす8)。これがボディソニックの根源的な要素であり、単なる物理的な振動であるバイブレータなどとは異なるものである。 【体感音響振動と褥瘡の予防効果】 体感音響振動の褥瘡などへの予防効果のメカニズムについては、まだ明確ではない。しかし筆者らは、音楽を「情報を持った振動エネルギー」として捉えた、下記の興味深い経験をしている。 ヌースアートクリエイション・藤原氏の提案で、89年に山梨県工業技術センターのワインセンターで、音楽振動を付与したワインの醸造9)を行った。その結果、発酵期間の短縮、官能テスト、測定データなどで、通常に醸造したコントロールとの間に有意差が認められた。測定データからは、音楽振動が水の分子構造に効果を及ぼしている可能性が窺えた。 褥瘡は鬱血など、血液循環が悪くなることによって起こるが、血液は大方水分である。音楽振動が水の分子構造に効果を及ぼす可能性があるとすれば、体感音響振動の褥瘡への予防効果に示唆するものがあるように思われる。 おわりに 音楽療法の面から体感音響振動の効果を述べてきたが、体感音響振動の効果はリラクセーションだけではない。爆発音や衝撃音、エンジン音などの衝撃感や振動感を伴うドキュメンタリー音を、ボディソニックで再生すると、迫真の臨場感を再現する。こうしたことから、今後はバーチャルリアリティ、シミュレーション、アミューズメント、アトラクションなどの分野での応用が増えていく可能性があると思われる。 体感音響振動は音の印象を深める効果がある。ソフト次第で、緊張感や驚かすこともできるし、リラクセーションをもたらすこともできる。 おわりに臨床例などの文献を引用させて戴いた先生方に深くお礼申し上げる。 参考文献 1)牧野真理子、坪井康次、中野弘二、筒井末春:うつ状態に音楽療法的接近を試みた1例 日本バイオミュージック研究会誌 1987,Vol.1, P61-66 2)村林信行、坪井康次、中野弘一、筒井末春:過敏性腸症候群に対する音楽療法 日本バイオミュージック学会誌 1993,5月 Vol.9, P39-42 3)村林信行、坪井康次、中野弘一、筒井末春:頭頸部の不定愁訴に対して音楽療法を施 行した1例 日本バイオミュージック研究会誌 1990,Vol.4, P49-54 4)牧野真理子、坪井康次、中野弘一、筒井末春:摂食障害患者の過食衝動に対する音楽 の活用の試み 日本バイオミュージック研究会誌 1990,12. Vol.5 P15-18 5)山本晴義:不登校症に対する音楽療法の活用 日本バイオミュージック研究会誌 1990,Vol.4, P29-33 6)表 文恵、田島佳代、吉永徳江、浦出節子、原田美恵子、西村明子、尾副節子、 下田俊文、春木谷マキ子、黒畑 功、豊中啓尹子:血液透析中における音楽療法の試み 大阪透析研究会誌 1990,9月,8巻2号 P173-177 7)岩谷房子、池田典次:末期患者に対する音楽療法の試み −特にボディソニックベッ ドパットの応用− 日本バイオミュージック学会誌 1994,6月 Vol.11, P29-P38 8)小松 明:体感音響振動の効果メカニズム試論 −ボディソニックによる音楽療 法の効果は何故起こるのか− 日本バイオミュージック学会誌 1992, Vol.7, P28-36 9)小松 明:《最近の技術》 音楽振動の食品分野への利用の可能性 日本食品機械研究会 食品加工技術 1991,Vol.11,NO.4,P179-P189 10)小松 明:音響が生体に及ぼす影響 −ボディソニック開発者の探求− 日本サウンドスケープ協会報 1998. 7, No.12 「特集:音楽療法」 P10 Copyright (C) 2003-2012 Bodysonic Laboratory, All rights reserved. |
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